山陽リレーコラム「平井の丘から」

ベトナム フーコック島  海本 友子

掲載日:2019年1月11日
カテゴリ:言語文化学科

 ビーチに出かけた孫たちをホテルのプールサイドで待っている。南洋の高い木々が風に揺れる。水着の欧米人たちが長い白い手足を無造作にさらして、デッキチェアで寝そべっている。ここはまるでハワイ?それとも村上春樹の世界か?

 ホテルの従業員たちは現地の若者である。本学にもここ数年増えてきたベトナムの留学生たちと似た雰囲気で、親近感を覚える。人懐っこい表情や勤勉な働きぶりに留学生たちを重ねる。

 まだあまり知られてない離島のリゾート地ということで誘われたのだが、外資系のホテルが林立し、あたり一帯は観光客で不夜城となっている。

 しかし、川向こうの地元の市場には小屋のような建物がひしめき、細い路地裏に人や物が行き交う。地面に直に広げられ炎天下に晒らされた魚や肉、香辛料の匂いにむせ、散らかる生ゴミに思わず身が竦んだりする。

 2 泊したホーチミンではバイクが津波のように次々と押し寄せる光景に息を飲む。信号もほとんどない町中を、湧き出てくるような車とバイクと人が、まるで危険なゲームをくぐり抜けるように動き続けている。町には人だけでなく、食べ物も品物も溢れている。

 実は、私にとってベトナムは悲惨なベトナム戦争(1965~1975)の国であった。私たちの大学時代は学生運動が過激だった。正義感に溢れる学生たちが「ベトナムを救え」と反戦運動に立ち上がった。その頃、私も平和で豊かな日本社会でのうのうと生きていることに後ろめたさを感じていた。どこかに置いてきたあの頃の気持ちを思い出した。最後に訪れた「戦争証跡博物館」で、悲惨な長い長い戦いに耐え、抵抗の末自分たちの国を取り戻したベトナムの人たちの底力に感服し、留学生たちのここまでの道のりに思いを馳せた。

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