山陽リレーコラム「平井の丘から」

人はどのような『場』で成長するのか~変わるインターンシップの意味~  神戸 康弘

掲載日:2018年10月16日
カテゴリ:地域マネジメント学科

 先日インターンシップ学会があったが「人はどのような『場』で成長するのか」がテーマであった。これまでインターンシップは、通常の講義がメインだとすると、その“おまけ”のような位置付けだった。しかし今、その意味合いが変わりつつある。脇役から主役になろうとしている。米国のミネルバ大学は校舎を持たない大学として有名で、サンフランシスコ、ロンドンなど学期ごとに世界各地を転々とし課題解決プロジェクトを行う。スペインのモンドラゴン大学は、実際に「起業」し黒字を出すことが卒業の要件だ。

 これらの背景にあるのは「人は教室の“授業”で成長するのか?」という問題意識だ。大学生にどんな場面で成長したか聞いてみた。「部活」が圧倒的に多く、次いで「アルバイト」「ボランティア」「寮生活」と続いた。これらに共通していることは全て「教室の外のできごと」ということ。「授業で成長した」という人は皆無だった。ならばこれらを授業にしてしまおうというのが、ミネルバ大学やモンドラゴン大学の発想だ。

 実社会の課題を解決する授業は「共通の課題をチームで協力し解決」「結果が明確に出る」「自分の能力が増すとチーム力も増す」など部活に似た、人を成長させる枠組み(スキーム)が揃っている。インターンシップは今、課題解決型や起業家養成型まで出現し、大学教育のおまけから主役になろうとしている。神谷(2004)は「生きがいは、自分のしたいことと義務が一致したときに生じる」と言うが、課題解決型授業は「課題を解決したい&しないといけない」というある種の「心地よい義務感」が生じるのだ。

 本学に地域マネジメント学部が誕生した。地域をキャンパスにするというコンセプトで、教室がメイン、外に出る実習はサブという考え方を逆転させた。1期生が入ったばかりだが成長が楽しみだ。そう言えば成長した場として学生2名が「東粟倉」と答えていた。課外活動で岡山県東粟倉を救うプロジェクトに参加している。着実に学生は成長しているようだ。その写真を載せこの文章を閉じたい。


神谷美恵子(2004)『生きがいについて (神谷美恵子コレクション)』みすず書房。



最近の更新状況
3歳までは母の手で?  権田 あずさ[2019年7月26日]
いよいよオープンキャンパスが始まります  岡田 典子[2019年6月18日]
「ぼたもち」の思い出  廣田 幸子[2019年6月5日]
食品ロスについて考える  國本あゆみ[2019年5月30日]
なんとなくエコ  西村 武司[2019年5月7日]
虐待について考えてみましょう  荒島 礼子[2019年4月16日]
桜の花々とともに  学長 齊藤 育子[2019年4月10日]
春を感じる桜餅  松井 佳津子[2019年3月30日]
岡山の美味しい魚と気候変動(地球温暖化)  白井 信雄[2019年3月28日]
甘いものすきですか ~ 和菓子のすすめ  小野 和夫[2019年3月15日]
受験シーズンの思い出  田中 愛子[2019年2月28日]
ソーシャル・キャピタルと健康との関係について~母の足に転倒してできた傷の治癒過程に及ぼす影響~  人見 裕江[2019年2月15日]
湯たんぽのすすめ  奥山 真由美[2019年1月18日]
ベトナム フーコック島  海本 友子[2019年1月11日]
川の流れ・人の流れ・食の流れ  藤井 久美子[2018年12月25日]
広島の土砂災害  澤 俊晴[2018年12月10日]
学内の版画から−  児玉 太一[2018年11月30日]
「おもてなし」の落とし穴  松浦 美晴[2018年11月12日]
60年代の象徴「アイビールック」のVANを創った岡山の世界的な起業家  松尾 純廣[2018年11月5日]
"Degrés des âges"(Degres des ages)  高橋 功[2018年10月26日]
人はどのような『場』で成長するのか~変わるインターンシップの意味~  神戸 康弘[2018年10月16日]
災害後における子どもの心と生活  上地 玲子[2018年9月20日]
アンティックピアノの魅力  田中 節夫[2018年9月12日]
時間生物学や遺伝的要因と学生の朝の遅刻  今村 恭子[2018年9月6日]
大学コンソーシアム岡山の地域貢献委員長として「日ようび子ども大学」「エコナイト」を担当して  澁谷 俊彦[2018年8月27日]