山陽リレーコラム「平井の丘から」

時間生物学や遺伝的要因と学生の朝の遅刻  今村 恭子

掲載日:2018年9月6日
カテゴリ:看護学研究科・助産学専攻科・看護学部

 ここ数年、新幹線での移動時間にはNewton 1冊をパラパラ読むのがマイブームで、難しい専門書や論文を読む前の導入剤として活用している。その内容の一部と最近の研究などを参考に生物学的側面から学生の遅刻について考えてみた。

 近年、DNAの解読と遺伝子研究の進歩によって、朝型か夜型か、お酒に強いか弱いか、性格、薬剤の効果などが遺伝子検査で特定できるようになった。地球がオゾン層に包まれる前の太古の昔、太陽光で破壊された生物のDNAは夜間に修復される機能を備えていたが、オゾン層の形成で有害な紫外線が吸収されるようになってからは、夜間のDNA修復機能は退化し、光の感知作用のみが残った。光を感知できるのは唯一眼球だけであり、私たちは目から朝の光を取り込み、活動に適した体のリズムを整え、身体のあちこちにある体内時計の調節を行っている。日の入り後は、昼間と対照的に強い光を遮断することで良質な睡眠を導くメラトニン分泌機能が備わっている。

 日本は、アメリカやヨーロッパと並んで夜間の照度が高い国である。その他、私たちの生活環境は良質な睡眠が脅かされる要因が多く、学生も例外ではない。夜間帯のアルバイトと学業の両立を余儀なくされる学生、深夜までパソコンに向かって課題に取り組む状況などは、日の入り以降にブルーライトをたっぷりと吸収した結果、メラトニン分泌を阻害し、体内時計の乱れや時間の感覚のずれを引き起こすといわれている。また、遺伝子的要因に関連して朝型や夜型の特性は学生の遅刻に影響する可能性も考えられる。

 「遅刻する」という固定概念は見直しの時にあり、遅刻しやすい教育環境を教員が作り出していないか、学生の生活状況や学習環境をどのように把握するのか、考えてみようと思う。

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